静岡県 ツキノワグマ出没データをWebダッシュボードで可視化してみた

静岡県ツキノワグマ目撃情報ダッシュボードの画面(ヒートマップとピン表示) WebMAP
静岡県公開データをもとに作成したツキノワグマ目撃情報ダッシュボード(ピン・ヒートマップ切替対応)

静岡県が公開しているツキノワグマの目撃情報(GeoJSON)をもとに、インタラクティブなWebダッシュボードを作成しました。地図上にピンを立てて1件ずつ確認できる形式と、出没の密集地をヒートマップで俯瞰する形式を切り替えながら使えます。本記事ではデータの出典と内容、ダッシュボードの仕様と技術構成をまとめます。

■ データについて

データ出典:静岡県公式ホームページ「静岡県のツキノワグマ」

静岡県が毎年度公開している目撃情報をもとに作成したGeoJSONデータです。市町等に寄せられた目撃情報を集約したもので、クマと断定できない情報も含まれています。

  • 対象年度:令和7年度(R07)・令和8年度(R08)
  • 件数:205件 / 総目撃頭数:220頭
  • 主な項目:日付、市町、地名、目撃時間、目撃頭数、備考
  • 座標系:緯度経度(WGS84)

データURL:https://www.pref.shizuoka.jp/kurashikankyo/shizenkankyo/wild/1017680.html

令和8年度のマップからは、目撃情報の精度によって色分けが導入されています。赤:クマと断定または可能性が高い目撃(痕跡・写真あり、状況からクマの可能性が高い)、グレー:他の動物との見間違いの可能性がある目撃(暗がりや瞬間的な目撃、黒い動物の目撃など)という区分です。

■ 静岡県のツキノワグマについて

静岡県の南アルプスや富士山周辺を中心とした山間部には、ツキノワグマが生息しています。生息域は大きく2つの個体群に分けられています。

  • 南アルプス地域個体群:一時期は生息数が減少したが、現在は回復傾向にある。一方で植林木の樹皮を剥ぐ「剥皮害」が林業に大きな被害を与えている。
  • 富士地域個体群:道路などにより他地域から分断され生息区域が狭くなっている。静岡県レッドデータブックでは「絶滅のおそれのある地域個体群」に区分されている。

秋から冬にかけてはエサを求めて南アルプスや富士山南側の地域にも出没することがあります。近年は令和5年度以降、目撃情報が増加傾向にあり、低山でも目撃情報が報告されています。ハイキング等で身近な山に入る際にも、クマ鈴やラジオをつけるなど対策が必要です。

県では令和6年度に個体数の推計調査を実施しており、生息密度の把握も進めています。また令和8年度からは小学校等での出前講座事業も開始されました。

■ ダッシュボードの概要

今回作成したダッシュボードは、GeoJSONファイルを直接読み込み、Leaflet.jsで地図に展開するHTML単体ファイルです。サーバーもPythonも不要で、ファイルをブラウザで開くだけで動作します。

静岡県 ツキノワグマ目撃情報ダッシュボード
項目内容
地図ライブラリLeaflet.js 1.9.4
タイルCartoDB Dark Matter(暗色系)
ヒートマップleaflet-heat プラグイン
グラフChart.js 4.4.0(月別棒グラフ・市町別横棒グラフ)
データ形式GeoJSON(HTML内に直接埋め込み)
フォントNoto Sans JP / Space Mono

■ 主な機能

① 3種類の地図表示モード

ボタン1クリックで地図の表示形式を切り替えられます。

  • ピン表示:1件1ピンで個別の目撃情報を確認。クリックでポップアップ表示(日付・時刻・頭数・備考)。
  • ヒートマップ:出没の密集地を色のグラデーションで俯瞰。ズームレベルに応じてぼかし半径が調整される。
  • 両方表示:ヒートマップの上にピンを重ねて表示。密集状況と個別情報を同時に確認できる。

② ピンクリックで個別情報を表示

各ピンをクリックすると地図上にポップアップが展開されます。表示内容は日付・時刻・目撃頭数・年度・備考です。また、テーブル一覧の行をクリックすると地図が該当地点にフライして、対応するピンのポップアップが自動的に開きます。

③ フィルター機能

年度(R07 / R08 / 全て)・市町(プルダウン)・テキスト検索(地名・備考)のフィルターをリアルタイムに適用できます。フィルター変更のたびに地図・グラフ・テーブル・KPIカードがすべて連動して更新されます。

④ テーブルのソート

一覧テーブルのヘッダー(日付・市町・地名・時刻・頭数)をクリックするとその列でソートできます。昇順・降順の切り替えも可能です。

⑤ KPIカード

画面上部に「目撃件数」「総目撃頭数」「目撃市町数」の3指標をリアルタイム表示。フィルター適用時は自動更新されます。

■ データから見えること

205件のデータを集計すると、いくつかの傾向が見えてきます。

市町別では富士宮市が51件でトップ、次いで静岡市清水区(41件)、静岡市葵区(37件)、浜松市天竜区(23件)と続きます。南アルプス・富士山周辺の山間部に集中していることが地図からも視覚的に確認できます。

月別では10月・11月・12月に集中しており、特に11月が43件で最多(全体の約21%)です。クマが冬眠前にエサを求めて活発に動く時期と一致しており、秋の出没増加は全国的な傾向と同様です。

時間帯では早朝(6〜8時)と午後(14〜16時)にピークがあります。クマの活動時間帯が人間の行動時間と重なる朝夕に目撃が多いことがわかります。

令和8年度(R08)の5件はすべて2026年4月の目撃情報で、富士宮市・静岡市葵区・浜松市浜名区に分布しています。今年度も早い段階から活動が確認されており、引き続き注意が必要です。

■ 技術的なポイント

GeoJSONをそのまま読み込む設計

今回のダッシュボードはGeoJSONのfeatureをループしてプロパティを直接参照する設計を採用しています。データ加工済みの独自JSON配列を埋め込む方式と比べて、元データの構造をそのまま活かせるため、静岡県が公開するGeoJSONの更新に対応しやすいメリットがあります。

ヒートマップの実装

leaflet-heatプラグインを使い、各ポイントの目撃頭数をウェイトとして反映させています。ヒートマップのグラデーションは茶→オレンジ→黄→赤の順で、目撃密度が高いエリアほど濃い赤で表示されます。ズームレベルに連動してぼかし半径を調整しているため、広域俯瞰でも詳細ズームでも見やすい表示になっています。

カラーテーマ

全体の配色はツキノワグマの毛色をイメージした琥珀色(#c97b38)をメインカラーに採用。背景はダーク系(#0d1117)でまとめ、地図タイルはCartoDB Dark Matterを使用することで、オレンジ系のピンやヒートマップが視認しやすい配色設計にしています。

■ まとめ

静岡県が公開しているツキノワグマの目撃情報GeoJSONをもとに、ヒートマップ・ピン・両表示の3モードを備えたWebダッシュボードを作成しました。HTML1ファイルで完結する設計のため、サーバーへのアップやWordPressへのiframe埋め込みも容易です。

データは年度ごとに静岡県公式サイトで公開されており、今後も更新が続く見込みです。GeoJSONを差し替えるだけでダッシュボードを最新状態に保てる設計にしているため、継続的な情報発信ツールとして活用できます。

本記事が静岡県のツキノワグマ出没状況の把握や、オープンデータを活用したWebダッシュボード制作の参考になれば幸いです。

参考リンク

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