~コロプレス分析による「見える化」から「判断支援」へ~
秋田県内で公開されているツキノワグマ出没情報をもとに、人口千人当たりの出没件数を「コロプレス(Choropleth)」で可視化したWebダッシュボードを作成しました。
今回のポイントは、単純な点表示ではなく、「人口補正を行ったコロプレス分析」を採用している点です。

従来のクマ出没マップの課題
一般的なクマ出没マップでは、目撃地点をそのまま地図へプロットするケースが多く見られます。
しかし、それだけでは本当の危険度は見えてきません。
例えば、人口30万人規模の都市部と、人口2000人規模の山間部では、同じ「10件」という数字でも意味が大きく異なります。
単純件数だけでは、
- 人口差
- 地域差
- 住民リスク
を適切に比較できないためです。
コロプレスとは何か?
地域を「色」で分析する手法
コロプレスとは、統計値に応じて地域を色分けする可視化手法です。
単なる「点」ではなく、
- どの地域が相対的に危険なのか
- どこにリスクが集中しているのか
- 地域差がどうなっているのか
を直感的に把握できるのが特徴です。
今回のコロプレス分析
今回のダッシュボードでは、
- クマ目撃件数
- 国勢調査人口
- 町丁目ポリゴン
- 空間JOIN(PostGIS)
を組み合わせ、「人口1000人当たりのクマ出没件数」を算出しています。
そして、その数値を地図上で色分け表示する「コロプレス分析」を行いました。
人口補正を行う意味
「件数が多い」と「危険度が高い」は違う
例えば秋田市のような人口集中地域では、件数自体は多くなります。
一方で、人口の少ない山間部では、件数は少なくても「住民一人当たり」で見ると高リスクとなる場合があります。
つまり今回の分析は、
「件数が多い地域」
ではなく、
「住民が危険にさらされる確率が高い地域」
を見える化しているわけです。
実際の危険地域が浮かび上がる
人口補正を行うことで、
- 上小阿仁村
- 東成瀬村
- 小坂町
など、単純件数だけでは埋もれてしまう高リスク地域が浮かび上がってきます。
これは防災・獣害対策・行政DXにおいて非常に重要な考え方です。
町丁目単位で分析する意味
市町村単位では見えないもの
今回のダッシュボードでは、町丁目単位で分析しています。
そのため、市町村単位では埋もれてしまう局所的な高リスク地域も把握しやすくなっています。
例えば、
- 山際集落
- 通学路周辺
- 河川沿い
- 森林境界部
など、細かな危険エリアも見えやすくなります。
「表示型GIS」から「意思決定型GIS」へ
地図を表示するだけでは意味がない
現在はAIによって、
- 点プロット
- ヒートマップ
- ダッシュボード作成
- KPI表示
そのものは比較的容易に生成できる時代になりました。
しかし、本当に重要なのは、
「その地図から何を判断するのか」
です。
人的資源配置へつなげる
今回のダッシュボードでは、
クマ出没
↓
人口補正
↓
コロプレス分析
↓
危険地域抽出
↓
人的資源配置
という流れまで整理しています。
例えば、
- どこへ重点巡回を行うか
- どこへハンターを優先配置するか
- どの地域へ注意喚起を強化するか
- どこへ箱罠を設置するか
など、実務的な判断へつなげることが可能になります。
今後の展開
今後はさらに、
- 高齢化率
- 通学路
- 学校距離
- 森林境界
- 時間帯
- 季節変動
なども組み合わせることで、より高度なリスク分析へ発展できると考えています。
まとめ
「地図を表示する」時代から、「地図で判断する」時代へ。
コロプレス分析は、その中核となる重要な技術の一つです。
AI・GIS・統計データを組み合わせることで、行政DXのあり方も大きく変わり始めています。
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