衛星データで森と都市を「見える化」する――LandsatとNDVIが語る地球の変化

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衛星データで森と都市を「見える化」する――LandsatとNDVIが語る地球の変化 


衛星が見守り続ける地球

1972年、NASAとUSGSが共同で打ち上げた1基の衛星が、地球観測の歴史を大きく変えました。これが「Landsat(ランドサット)」計画の始まりです。以来、Landsatシリーズは40年以上にわたり地球を撮影し続け、気候変動や都市化、農業の変化といった人類の営みを“記録”してきました。

驚くべきは、この画像データが誰でも無料で利用できることです。一般市民や教育機関、研究者だけでなく、地方自治体や企業までもが活用できる“オープンな地球観測資源”として存在しているのです。

Landsatが持つ価値は、単なる「写真」ではありません。地球の変化を数十年単位で比較できる“タイムマシン”のような役割を果たしているのです。

NDVIが映す「植物の健康診断」

Landsatの画像には、人間の目では見えない近赤外線の情報が含まれています。これを赤色光と組み合わせると、「NDVI(正規化植生指数)」と呼ばれる数値に変換できます。

NDVI差分

NDVIは簡単に言えば「植物の健康診断の数値」です。

  • 値が高い(濃い緑)=植物が元気に育っている
  • 値が低い(赤や茶色)=木が伐採された、弱っている、もしくは植生が薄い

これにより、森の状態を“色と数字”で把握できるようになります。例えば、2008年と2018年の画像を並べてみると、どの範囲で伐採が行われたかが一目でわかります。

この技術は森林管理だけでなく、農業分野や都市環境の観測にも幅広く利用されています。

かんたん実践例:森の変化を追いかける

NDVI解析と聞くと難しく感じられるかもしれません。しかし実際には以下のように、直感的な流れで進められます。

  1. 場所を決める
     例:宮崎県高千穂町(緯度32.7075、経度131.3079)の山林
  2. 衛星の写真を選ぶ
     USGS Earth Explorerで、2008年10月や2018年10月など、比較したい年月を指定します。雲が少ない写真を選ぶことがポイントです。
  3. 色を変換する
     赤外線と赤色の情報を組み合わせてNDVI画像を生成。森の元気な場所は緑色、伐採された場所は赤や茶色になります。
  4. 年ごとに比べる
     2008年と2018年を並べると「この10年で森がこれだけ減った」という変化が視覚的に確認できます。
  5. 数字にする
     変化した部分を地図上で測れば、「〇ヘクタールの間伐」と具体的な数値として表せます。

専門的なプログラムやGISソフトを使えば自動化も可能ですが、基本の考え方は「写真を比べて色の違いを面積に置き換える」だけなのです。

森林・農業・都市での活用事例

森林管理

間伐や伐採の範囲を衛星から確認できるため、自治体の森林施業記録やJ-Credit制度におけるカーボンクレジット認証にも活用されています。森の健全性を「見える化」することは、二酸化炭素吸収量の把握や地球温暖化対策に直結します。

農業

農作物の成長状況をチェックしたり、水不足によるストレスを早期に発見することが可能です。水資源の効率利用や収量予測につながり、持続可能な農業の実現に貢献します。

都市計画

都市の拡大やインフラの変化も、Landsatで長期的にモニタリングできます。東京湾岸の埋め立てや大阪の市街地拡張といった変化は、衛星画像を時系列で並べることで誰でも確認できます。これにより、防災計画や土地利用の見直しに役立てられています。

LandsatとSentinelの比較

衛星観測には複数の選択肢がありますが、特にLandsatとSentinel-2はよく比較されます。

  • Landsat:30m解像度、1970年代からの長期記録が最大の強み
  • Sentinel-2:10m解像度、5日ごとの高頻度観測が可能

つまり、長期的な変化を見るならLandsat、最新の細かい観測にはSentinelという使い分けが適しているのです。両者を組み合わせることで、「過去から未来までの地球」をより精緻に把握できます。

誰でも「衛星研究者」になれる

Landsatデータは専門家だけのものではありません。手順はシンプルです。

  1. Earth Explorerにアクセス
  2. 見たい場所と期間を入力
  3. 雲の少ない画像をダウンロード
    これだけで、地球を観測する研究者の仲間入りです。もしQGISのような無料GISソフトを使えば、さらに「色を変換する」「数値化する」といった応用もできます。
    専門知識がなくても、環境の変化を“自分の目で確かめる”ことができるのです。

    まとめ:未来を測る「衛星の眼」
    Landsatは地球の“記録係”として、何十年にもわたり森や都市の変化を見続けてきました。そのデータは、気候変動や都市化といった人類の課題を考える上で欠かせない資産です。
    森林の健全性を知る
    農作物の健康を管理する
    都市の変化を記録する
    すべてが「無料」で、誰にでも開かれている。これは世界でも稀な公共財といえるでしょう。
    🌍 あなたも一度、Landsatのデータを手に取ってみてください。
    そこには「過去から未来へと続く地球の物語」が映し出されています。

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